『時に伯父さんどうです。久し振りで東京の鰻でも食っちゃあ。
竹葉でも奢りましょう。これから電車で行くとすぐです』
唐突に失礼しました。『吾輩は猫である』の中の一文を拝借して
ちょっとアカデミックな面をセルフプロデュースしてみました。
夏がキライなグラフィックデザイナーの倉田です。
突然、歴史的小説の引用で書き始めてしまいましたが、
別に芸人さんが芥川賞を獲ったコトに感化されたわけでもなく、かといって
別段、私自身が文学好きであったりアカデミックなワケでもありません。
むしろ、お勉強の出来でいえば“今から慶應大学を受験して一発合格したら
映画になってしまう”そのくらいです。
そんな私には大切にしているMy年中行事が幾つかありまして、
その中でも極めて重要な行事のひとつに
「丑の日は鰻の名店で贅沢をする!」があります。
今回、なんの因果かブログの順番が廻ってきたトコロで折も折、
ちょうど丑の日(2015年は7/24と8/5)ということで、
銀座の名店に行って参りました!
…ただ、ココで注釈を付けておきたいのが
“銀座で鰻の名店”なんて言ったら、私程度の凡庸な身分の者には、
それこそ会計だけで夏バテ必至、いや必死なお店がズラリなわけです。
あくまでも紹介できる身の丈+αのクラスです。
とは言いつつ、私にも「行ってみたい」と憧れていたお店はあります。
その中のひとつで、今回私に目を付けられてしまったお店が、
冒頭の『吾輩は猫である』の中で出てくる『竹葉亭』です。
こちらは夏目漱石の作品でも出てくるように、歴史の古い老舗で、
「納豆鉢」で有名な(一部で)北大路魯山人も鰻屋一流店と賞して
いるほどの名店です。老舗の名店です。

御座敷を利用するときは入口が違うんです
銀座店もあるのですが、今回訪れたいのは、もちろん本店です。
本店は8丁目にあり、事務所から歩いていける距離でしたので、
この機会に予約することにしました。


築90年以上!じきに付喪神の域です
予約当日の銀座は35℃を超える暑さで
“ヒートアイランド銀座”の名に恥じぬ酷暑っぷり。
目的は鰻からビールへと変わっていたところでしたが、
お店の前に立つとその雰囲気にちょっと身が引き締まりました。
入口は、座敷の利用か店内の利用かで分かれています。
店内利用で訪れたお客さんと差を付けてくれる優越感は、
まるで浦安Dランドのファストパスシステムを彷彿させ、
女性をエスコートしていたら「コイツ何者!?」
という印象を与えることができそうです。
その対価として…というワケではありませんが、
座敷の場合はお品書きがありません。
「白焼き」が付くコースと付かないコースの2種類のみです。
せっかくなので、ココは贅沢ついでに「白焼き」付きのコースを
頼みました。
座敷に通されると、まるで旅館。「飯の前にひとっ風呂…」という
テンションになりましたが、ココはぐっとこらえ、
脱水した身体をビールで癒し、正気に戻します。
コースですから、いきなり主役の鰻は出てきません。
お通し、お造り、椀、の順で一品づつ出されました。
ここでビール2本目です。この日はビールが美味くて美味くて…
そして満を持しての「白焼き」登場です。
ワサビで食べる白焼きは、鰻を食べてるという実感がして
とてもウマい! 贅沢ついでの白焼きウマい!
そしてビールと合う!!
「白焼き」のように品の良い女将さんが現れ、このあと
「蒲焼き」が出されるのを伝えられ、丼か別皿かを選択します。


白焼きのお吸物は、食べちゃったあとです。すいません…
タレと山椒も別で提供されますが、そのままでもやはりウマい!!
ウマいの「う」はウナギの「う」だということを
認めざるをえないウマさ!!
大きさはハッキリいって期待以上。
“いい店の鰻は国産だから小さい”という先入観から大きさには
期待していなかったのですが、満足の身振り。絶品です。
デザートには大きなスイカも用意されていて、女将さんと
雑談しながら完食。
気取らない名店っぷりに大満足です。
是非、鰻が旬の冬にも訪れてみたいという気になりました。
こうして今年のMy年中行事「丑の日は鰻の名店で贅沢をする!」
は、夏目漱石先生のおかげで「夏も悪くないな」と思える
丑の日になりました。
ということで、
今年の夏はこれからです。ウマい鰻で夏バテ防止!
銀座にお越しの際は、ぜひお声をかけてください。
『竹葉でも奢りましょう』とはいかないかもしれませんが、
お供させていただきます m(_ _)m